ターゲットボードとICEを使用した、いわゆる「実機検証」では、正常系の検証に偏りがちです。これは、実機では例外的な条件や複合的な条件をシステム上に再現することが難しく、発生頻度の低い現象に対するソフト検証を行うことが原理的に難しいためです。 これを解決し、組込みソフトのテスト密度を上げ、より確実なデバッグを行う1つの方法が「シミュレータ」による検証です。実機を使用しないソフトウエアのみで構成された仮想環境では、検証のためのデータの入出力や周辺ハードの機能を柔軟に変更、スタブ化することが可能で、ハードウエアでは再現が困難な現象を確実に発生させて検証することが可能になります。組込み業界共通の課題である「テスト不足」へのソリューションです。