GAIO CLUB

2004年02月02日

既存IP利用のSoCラピッドプロトタイピングローコストソリューション「ASICデザインキット」

GAIO CLUB 特集
GAIO CLUB【2004/2月号】
既存IP利用のSoCラピッドプロトタイピングローコストソリューション「ASICデザインキット」
ARMマイコン+ASICの組み合わせによるシステムをシリコン試作前に手軽に短期間で検証する

拡大するSoCを採用した組み込み機器

一昔前の組み込み機器のターゲットボード開発では、既存の汎用チップを基板上で配線してアセンブリするものがほとんどでした。

最近では、モバイル組み込み機器の様に、小型・省電力の要求から、複数の汎用チップを集積したASICや、マイコンコアまでも取り込んだSystem On Chip が採用されています。

半導体メーカーでは、オリジナル仕様のSoCを短納期で試作するサービスにも対応しており、製品毎にオリジナルのSoCを開発する事も、日常のものとなりつつあります。

SoC設計の手法の変化

ASICの開発が始まった頃は、当然の事ながらIPと呼ばれる設計資産は存在しませんでした。各社では、HDLベースでハードウエアのモデリングを行い、HDLソフトウエアシミュレータや、数千万から数億円する様なハードウエアエミュレータを駆使して、ASICの動作検証を行っていました。現在でも、オリジナルなASIC開発におけるASIC内部の動作検証には、これらのツールは必要不可欠です。

しかしながら、現在では、USB、IEEE1394、NIC、画像コーデックなど、汎用的なペリフェラルについては、そのほとんどのIPが製品として出回っており、AMBAの様な標準的なバスにこれらを接続するだけで、その機能をASICに取り込めるようになりました。一からASIC設計を行うことは、その設計検証にかかるコストや、開発失敗に対するリスクが高いため、市販され実績のあるIPを採用する方が賢明となっています。

このような状況から、ASIC、SoCの開発はIP部品の組み合わせ技術となっており、比較的容易な技術となっていることから、SoCを採用する製品の数に拍車がかかっています。

単なるチップシミュレーションからシステム検証へ

ASICのハードウエアエミュレータやソフトウエアエミュレータは、莫大なコストのかかるASICシリコン試作の前に、チップのシミュレーションにより動作を検証するものです。しかしながら、これらは単なるチップのみのシミュレーションであり、マイコンに搭載されるソフトウエアによるシステム動作を検証することは非常に困難です。

最近の要求は、汎用性の高いSoCよりも、開発する製品に特化した仕様を持つものが期待されており、製品のマイコンソフト動作を包括したシステム動作を、短期間で検証することが必要となっています。

FPGAによるSoCラピッドプロトタイピング

手っ取り早くシステム動作を検証するには、FPGAを利用する方法があります。HDLベースで開発されているIP部品であれば、そのほとんどがFPGAにプログラムして実動作させることが可能です。マイコンのコアについても、ペリフェラルデバイスと同様に、IPとしてFPGAに入れてしまえば、SoCそのものの動作がFPGAで検証可能です。
  • IPの組み合わせで新たなSoCを開発する場合では、このFPGAによるASICのプロトタイピングが主流となっています。SoCシリコンを試作する前にシステム動作を含めた検証を行うことで、試作失敗に対するリスクを小さくすることや、シリコンの完成を待たずに、システム動作ソフトウエアを開発できるメリットが生まれています。

最もローコストなソリューション「ASICデザインキット」

ガイオの「ASICデザインキット」は、SoC開発のための、最も経済的なソリューションです。マイコンコアについては、マイコンコアのIPを入手してFPGA上で他のデバイスIPと接続する方法もありますが、これはコスト高となります。
  • そのため、「ASICデザインキット」では、ARM926/946 のコアのみを搭載し、SoC内部バスであるAMBAバスをピンに直接出力した専用チップを使用しています。このAMBAバスで大容量FPGAと接続することで、シリコン上のSoCと同等の構成を、基板上で実現しています。

マイコンソフト開発環境「ガイオOPENplus」

「ASICデザインキット」には、ARM9評価ボードとFPGAメザニンボードの他、マイコンソフト開発のためのクロスコンパイラ、ターゲットデバッガ、μITRON OS(ミスポ社製 NORTi Ver4)がパッケージされています。動作確認済みのサンプルプログラムなども用意されており、すぐに開発をスタートしていただけます。

HDL開発ツールやFPGA支援ツールは、現在皆様がお使いのEDAベンダー製ツールをそのままお使いいただきます。

外部ハードウエアを仮想化するハイブリッド評価ボードへ発展

ガイオでは、評価ボードとシミュレーション技術を融合させた「ハイブリッド評価ボード」を提案しています。FPGAに搭載するSoC以外の外部ハードウエア、ペリフェラルを、PC上で動作する仮想ハードウエアとしてモデリングし、実際のARM9ボードと連携動作させることが可能です。

テスト工程での試験装置を、仮想ハードとして実装すれば、SoCを使用した組み込みシステムの、ソフトウエア自動試験システムも実現します。

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