GAIO CLUB

2003年07月04日

プロトビルダーでモデル作成を体験 モデルから操作手順書を作ってみる

GAIO CLUB 特集
GAIO CLUB【2003/7月号】
プロトビルダーでモデル作成を体験
モデルから操作手順書を作ってみる

HMI仕様作成ツールのデファクトプロトビルダー

ガイオのHMI仕様作成ツール「プロトビルダー」はリリースから3年が経ち、おかげさまで、現在では国内ほとんどのメーカー様にご導入いただいております。ケータイ、デジカメ、DVD、オーディオ機器、計測器、産業用機器など、多岐に渡る組み込み製品の開発に使われております。組み込みHMI仕様作成ツールとしては、No.1の実績を持つまでになりました。

このコーナーでは、プロトビルダーを用いたHMI仕様の作成方法と、プロトモデルを用いたHMI仕様検討の方法を紹介したいと思います。

分かり易い「紙芝居」の原理で状態遷移モデルを作成

  • プロトビルダーの第1の特長は、「どなたにでも使っていただける」ツールであることです。実際に操作が出来る動作モデルを作成する場合でも、プログラミングのスキルは一切必要ありません。

    プロトビルダーでモデルを作成する場合、まず、製品の動作を、状態遷移モデルとして捉えます。例えば、簡単なPDAのモデルを作成する場合、最初に電源を入れて、最初のメニューを表示する所までを考えると、大まかには「電源OFF」、「電源ON」、「メニュー表示」の状態があります。実際の製品はこのように単純ではなく、起動画面、アニメーションなどがありますが、まず、単純な状態の移り変わりとして捉え、これらを紙芝居として定義してゆきます。
実際のモデルでは、デジカメなどのモデルで1000枚程度、携帯電話モデルなどでは3000から4000枚程度の紙芝居が必要になりますが、プロトビルダーでは、この大量の画面を、コピー&ペーストなどを使用して効率よく作成できるように機能化されています。

ビットマップ、テキスト素材によるGUI画面の作成

次に、紙芝居の作り方に進んでゆきましょう。この紙芝居は、製品の1つの状態を示すものであるため、「ステート」と呼んでいます。
このステートの各画面は、各々をビットマップのようなもので1枚1枚書いている訳ではありません。組み込み機器の画面表示は、アイコン、テキスト文言など、リソースとしてデータ化されており、必要に応じて、そのリソースが表示される作りになっているものがほとんどです。プロトビルダーでの画面作成も、この考え方と同じになっており、表示物のリソース部品は各紙芝居とは独立して作成・登録し、必要に応じて、表示/非表示を簡単に切り替えられる仕組みを提供しています。

例えば、アイコンによるメニュー表示の場合、各アイコンは独立したBMPファイルとして作成し、これを部品としてモデルに登録、貼り付けを行います。このアイコン部品は、全ての紙芝居に共通なリソース素材です。「電源OFF」や「電源ON」の紙芝居では表示する必要はないため「非表示」にセットし、「メニュー表示」の紙芝居でのみ、「表示」にセットします。
このように、アイコンなどビットマップが必要になれば、その都度、部品として登録をし、画面内に貼り付けてゆきます。
  • テキスト文言についても同様で、テキストを書き込むための部品を作成し、その中に自由にテキストリソースを設定します。この文言の表示が必要な紙芝居でのみテキスト部品を「表示」に設定します。

    製品の他の状態を作成したければ、「ステート」を追加して新しい「紙」を作り、そのステートの中での各リソース部品の状態を設定して行きます。

ボタン操作による動きを紙芝居の切替で設定する

製品の状態を示す「ステート」が揃ったら、ボタン操作により、画面表示を切り替える設定をします。プロトビルダーは「紙芝居の原理」で成り立っています。製品の動きについては、これを紙芝居の切り替えに置き換えて作成します。すなわち、電源などの「ボタン」が操作されたら、その結果、どの紙芝居を表示すれば良いかを考えるわけです。

例えば、「電源OFF」のステートでは、「電源ボタン」が操作されると、電源が入ります。すなわち、電源ボタンが押されたきっかけで「電源ON」の紙芝居を表示するように設定します。
  • この設定は、プロトビルダーでは非常に簡単に行えます、ボタンの役割を定義するリストの上で、表示したい「ステート」をプルダウンリストから選択するだけです。

    プロトビルダーには、「モデルシミュレータ」の機能があります。このモデルを実行すると、電源ボタンをマウスでクリックすることで、電源OFFの紙芝居から電源ONの紙芝居に切り替わり、あたかも電源が入ったように振る舞います。

アニメーションなど動きのある画面を作成

最近の組み込み機器の画面は、アニメーションなどが多用されており、単純な紙芝居の様な静止画ベースの画面は少なくなりました。プロトビルダーでは、製品の動作の流れは紙芝居仕立てで作成しますが、その紙芝居に、動く部品を使って、アニメーションの要素を加えることが出来るようになっています。

プロトビルダーでは、1つの部品の中に複数のBMPファイルなどの素材を、重ねて登録できるようになっています。
  • 例えば、組み込み機器によくある「LEDの点滅」動作であれば、消灯しているLEDのビットマップと点灯時のビットマップを登録して置き、これを交互に切り替えれば、あたかも点滅しているように見せることができます。
アイコンなどのアニメーションも原理は同じであり、各コマを1つの部品に登録し、これを順次めくりながら表示すれば、アニメーションになります。
  • プロトビルダーでは、部品のプロパティの1つである「自動ムービー」のスイッチをONにするだけで、登録したBMPを自動的に切り替えながら表示することが出来るようになっています。

作成したモデルから操作手順仕様書を作る

動くモデルを作ることに加えて、プロトビルダーのもう1つの大きな機能が、「仕様書作成機能」です。作成した紙芝居を並べて、状態遷移図、状態リストなどを簡単に作成することができます。 動くモデルで製品のイメージや操作感を示し、生成した仕様書で、詳細な情報を提示すると、より確実に製品仕様を伝えることが出来るようになります。

製品の操作手順に従って紙芝居を並べるだけの簡単操作

HMI仕様情報として、操作手順を示すためには、状態遷移図がよく使用されます。プロトビルダーでの状態遷移図作成は非常に簡単で、「状態遷移図」のページを作り、ここに図示したい紙芝居(ステート)をドラッグ&ドロップで並べるだけで作成できます。ステート間に、ボタン操作などの状態遷移があれば、矢印で示されます。

補足説明などは、「付箋」貼り付け機能により、仕様書の任意の場所に、コメントを入れることもできます。

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