GAIO CLUB

2003年09月02日

 何もかもインターネット接続!これからのIPv6組み込み技術

GAIO CLUB 特集
GAIO CLUB【2003/9月号】
何もかもインターネット接続!これからのIPv6組み込み技術

組み込み機器をネットにつなぐIPv6

日本でも本格的なブロードバンド時代を迎え、インターネットで動画や音楽がストレスなく使うことができるようになりました。最近では、電化製品や情報家電製品の中にも、ネットワークが接続できる製品が発売されており、インターネットは、より身近になってきました。

ご存じの様に、ネットワーク接続される機器にはIPアドレスという、機器を特定するための番号が割り振られています。現在使用されているIPアドレスは、IPv4と言う32ビットの数値ですが、全世界全ての機器に番号を割り付けるためには、番号が足りなくなってきました。そこで考えられたものが、IPv6と言う128ビットのアドレス方式です。今後は、このIPv6に徐々に移行して行くとされていますが、このほとんどは、PCではなく組み込み機器に利用されることになります。

全世界の機器に固有の番号を付けて管理するには

全ての機器に固有のアドレスが割り当てられれば、遠隔からの情報管理、リモートコントロールなど、様々なサービス、機能が提供できます。しかしながら、現在のIPv4方式の32ビットIPアドレスでは、全ての機器に固有のアドレス番号を割り当てることは出来ません。現在でも、多くの機器がインターネットに接続されてはいますが、その多くは、ローカルアドレスと言われる、会社など、組織内で閉じたネットワークの中でのみ有効なアドレスが使用されており、全ての機器が直接インターネットにつながっているわけでなく、機能的な制限が多くあります。

そこでIPv4の32ビットから128ビットに拡張されたアドレスを管理する、IPv6(Inernet Protcol Version 6)が策定されました。このIPv6で管理できるネットワークとネット接続できる機器の数は天文学的で、使い尽くされることはまず考えられません。これからのユビキタス時代を担うものとして期待されています。

素早く機器を検索できるIPv6の階層構造

従来のIPv4では、ネットワークアドレスとホストアドレスという2階層の構造をとっていましたが、実状は、ネットワークアドレスは不規則に割り振られており、管理と呼べるようなものではありません。

IPv6では、ネットワークアドレスを最上位層、次階層、サイト階層という階層で管理するようになっています。最上位層のアドレスでインターネットのバックボーン回線の組織を識別し、次階層でバックボーンに接続しているISPを識別し、サイト階層で各ネットワークを識別します。まさに住所の考え方です。

このように3階層でネットワークを管理することで、各ネットワークが巨大なインターネットの中のどの場所にあるか、す速く探索することができるようになります。

ISPと接続形態

実際にISPとの接続はどのようになっているのでしょうか?いくつか接続形態を簡単に説明します。

接続形態

6to4(IPv6 over IPv4トンネル方式)

現在、多くのISPで提供されているIPv6の接続形態はIPv6 over IPv4というトンネル方式です。この方法は既存の社外IPv4接続網を利用してIPv6パケットを流すことが可能です。

IPv4/IPv6デュアル方式

既存のIPv4回線をIPv4/IPv6デュアル回線に置き換える形態です。この場合、ISPとの接点となっているIPv4ルータのファームをアップデートまたは交換が必要になります。

IPv6ネイティブ方式

新規のIPv6ルータを設置し、ISPとの接続線も新規に施設する必要があります。

ガイオで開発したIPv6組み込み機器の例

ガイオで開発した、超小型IPv6ネットワークセンサを例に開発環境や組み込みについて紹介したいと思います。CPUにルネサス製H8マイコンのH8/300HシリーズであるH8/3069Rを使用し、μITRONにIPv6ネットワーク(TCP/IP)を実装し各種センサ情報を取得することができるボードです。

特徴

・ ROMは、マイコン内蔵(512KB)を使用
・RAMは、外付けDRAMを搭載し8MBの容量を持つ
・ IPv6通信機能
・ イーサネット経由での電源供給 Poweron Ethernet(IEEE802.3af)に対応
・ 基板サイズが名刺サイズと超小型

今後期待されるMobileIP

MobileIPは、今後主流になっていくと予想されるIPv6を拡張したものです。IPv6のグローバルアドレスを携帯電話や家電などに割り振ることができます。また、移動透過性、データリンク非依存であるため、将来携帯電話、モバイルパソコン、自動車などで移動している場合でも、IPアドレスを変えることがなく通信を続けることができます。例えば通信デバイスを無線LANからモバイルパソコンに切り換えるといった、ネットワークインタフェースの変更でもIPアドレスを変えることなく通信ができる技術です。

車載機器で加速するIPv6経済産業省が支援するITS技術

特に、自動車の分野では、車載機器の情報化が加速しつつあります。ガイオでは、その中で経済産業省が支援するインターネットITSに関する研究として、組み込みマイコンにおけるIPv6の実装や実証実験などを行うためのハードウェアやソフトウェアの開発、提供を行ってきました。

慶應義塾大学WIDEプロジェクト

慶応大の「WIDEプロジェクト」では、IPv6を実装したモバイル端末から、無線LAN、携帯電話回線を使用して、IPv6インターネット網にアクセスする実証実験が行われました。

ガイオでは、これらの実験で使われるデバイスの多くを、自社開発して提供しています。

ガイオのIPv6実装技術をご利用下さい

これらの実績で得た多くの技術とノウハウで、お客様のニーズに合わせたボード設計や、各種ソフトウエア・ドライバの開発、実装をお受けしております。

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