GAIO CLUB

2003年10月02日

大容量FPGAを搭載した ARM9開発キットシステムLSI開発・動作検証キットの本命!

GAIO CLUB 特集
GAIO CLUB【2003/10月号】
大容量FPGAを搭載したARM9開発キット
システムLSI開発・動作検証キットの本命!


ガイオでは、評価ボードとクロス開発ツールをパッケージ化した「デザインキットシリーズ」に、ASICとの組み合わせ評価が可能な「ASICデザインキット」を加えました。本稿では、その内容をご紹介いたします。

ARM9コアのASICの検証に最適な開発キット

  • ASIC Design Kitは、組み込み用CPUIPコアの本命であるARM9(926/946)を使用したASICの開発に最適な評価キットです。ARM9コアおよび周辺回路は既に動作済みの状態で用意されており、IPとして実装が必要な機能をメザニンボード上の大容量FPGAに書き込んで頂くことにより、ARM9コアASICのハードウェア検証を簡単に行うことができます。

実際のシステムLSIを想定したARM9コアのみの専用チップ

従来の一般的なARM9チップでは、AHBバスを外部に出力しておらず、既にマイコン周辺回路、ペリフェラルが内蔵されてしまっており、実際のASICに近い形での検証に使用することは不可能です。ASICデザインキットでは、AHBバス外部出力を持つコアのみの専用Chip(ARM9 Core)を採用しています。

大容量FPGAを搭載

大容量FPGAを搭載したメザニンボードがセットされており、ARM9コア+IPの機能検証を簡単に行うことができます。

クロス開発ツールやRTOSをパッケージ

実績のあるGAIO製コンパイラ/デバッガおよびMISPO製μITRON(組み込み標準リアルタイムOS)およびサンプルプログラムなど、開発に必要なツール一式が全てパッケージにバンドルされています。また、オプションとしてTCP/IPプロトコルスタックを実装可能なネットワーク版パッケージもご用意しています。

ASICデザインキットならではの機能

ASICデザインキットでは、従来のデザインキットシリーズのユニークな機能を更に拡張し、より有効なASIC開発を協力にサポートします。

ソフトウェアからの消費電流計測機能

ASICの性能においては、近年益々低消費電力化が重要な課題となって来ています。従来のデザインキット(ARM9、SH4)においても、プログラム実行時の<CPU + SDRAM>の消費電流を測定するための専用端子を用意していましたが、外部に電流計を接続しなければならず、若干面倒な面がありました。また、電流計のメータによる観測のため、プログラム動作の違いによる電流変化をリアルタイムに捕捉しづらいという問題がありました。
  • ASIC デザインキットでは、これらの問題点を解決するため、ボード上に電流計測用のA/Dコンバータを実装し、ソフトウェアからの消費電流変化の確認を可能にしました。これにより、ASICのモード設定の違いやプログラム(ソフトウェア)テクニックによる消費電流の削減効果をリアルタイムに確認したり、ログを取ったりすることが可能になりますので、低消費電流システムの開発をより有効に進めることができます。

コア電圧計測

特に低消費電力システムにおいては、急激な動作モード変化によるCPUコア電圧の過渡的な変動が問題となる場合があります。このため、コア電圧の計測用にも専用のA/Dコンバータを設け、消費電流と共にソフトウェアからの確認を可能にしました。これにより、コア電圧の大きな変動を伴う危険な(誤動作の可能性の高い)動作などを事前にキャッチすることができます。

プログラム実行時間計測機能

プログラム実行時間計測用のハードウェアタイマーをFPGA上に実装していますので、理論値ではなく、実際にプログラム実行に要する時間が計測できます。また、計測時間はデバッガのウィンドウ上に表示されますので、タイマー制御用のプログラム等を作成する必要もありません。

AISCデザインキット導入事例

デザインキットシリーズおよびASIC デザインキットは、お陰様で多くのユーザー様にご使用頂いています。有効に活用するためのポイントなどを、実際のご使用例と合わせてご紹介します。

A社様

ARM9コア+特殊画像処理エンジンのASIC開発用の評価システムとしてご採用検討中の例

  • A社様では、ARM9コア+特殊画像処理エンジンのASIC開発を進められており、画像エンジン部はIPとして既に開発を完了されていました。このIPとARM9コアとを組み合わせての評価システムをご検討中でしたが、ASIC Design Kitがこの目的に最適ということで、ご採用の方向でご検討頂いています。

    ASIC Design Kitは、ペリフェラルバス/AHBバス用の拡張コネクタを基板上にご用意しており、またIP評価用の大容量FPGAを搭載したメザニン基板も実装済みです。このため、A社様の様なケースの場合、評価したい画像エンジンのIPをFPGAに焼き込んで頂くだけで、ARM9コア+画像Chip(IP)の評価システムを簡単に構築でき、総開発費用を大幅に削減できる点をメリットとしてご評価頂きました。

B社様

ARM9+Z80互換CPU(×3)(通信制御用)システムボードの評価用としてご採用の例

  • ASIC開発用の用途以外としても、B社様にはARM9とZ80互換CPU(×3)のマルチCPUの通信システムボードの評価用としてARM9 Desgin Kitをご採用頂きました。

    A社様同様、メザニン基板(B社様の場合はZ80互換CPU×3実装)をご用意頂くだけで評価システムを構築できる点はもちろんですが(尚、このメザニンボードはGAIOが受託開発)、GAIO デザインキット/ASIC デザインキットは、コンパイラ/デバッガ/OS(μITRON)/サンプルプログラム等の開発環境・OS一式を全てバンドルしていますので、目的とする通信制御部分以外の開発環境整備に全く手間を割く必要がありません。

ASICデザインキットベースの各種受託開発にも対応

お客様が使用を希望されるタイプのFPGAを搭載したメザニンボードや、FPGAのみでなく各種インタフェース(RS-232C、USB、画像・音声入出力など)を搭載した、お客様のシステム向けの専用メザニンボードの開発を承ります。CPUコア+IP用大容量FPGAのハードウェア、更にソフトウェア開発環境一式が全てセットされたASIC デザインキットのコンセプトは、お陰様で大きな反響を頂いております。GAIOでは、ARM9以外のCPU用ASIC デザインキットの受託開発にももちろん対応しており、既にMIPS版など多くの引き合いを頂いています。

ハイブリッド型高速シミュレータ「ソリッドシミュレータ」へも展開

デザインキットシリーズの応用製品として、ガイオでは、画期的なソリッドシミュレータへの展開も進めています。これは、デザインキットのハードウェア(ボード)をシミュレータのエンジンとして使用するもので、高速なハードウェアシミュレーションを、一般のハードウェアエミュレータの数十分の一のコストで実現する画期的な製品です。

実CPUをシミュレーションエンジンとして使用しており、ターゲットプログラム実行中は、正にターゲットと同等のパフォーマンスで動作します。これに、システム固有の周辺回路を焼き込んだFPGAや、PC上で動作するソフトウエアデバイスモデルを連携させることで、Linuxなどを搭載した大規模な組み込みシステムのシミュレーション検証を行うことも可能となっています。

ソリッドシミュレータは、既に数社のメーカー様にデザインの最終検討を行って頂いています。また、各種CPUに対応したソリッドシミュレータの受託開発も承っています。

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