我々の製品では、さまざまなシステムの状態に応じて制御目標や制御内容を切り替えます。また、故障等の異常状態が発生した場合は、その状態に応じて制御内容を切り替えるなど複雑な仕様になっています。
モデル図は、数学的な演算処理をグラフィカルに記述でき、分かりやすく保守性にも優れています。他方、我々の製品のような複雑な仕様をモデル図で記述すると、多数の処理の切り替えを含んだ複雑な記述が必要になりますが、モデル図はテキストベースの記述に比べて情報密度が低いため、記述するには一般的に、より広い平面と深い階層構造をもった3次元の空間が必要になります。
このため、
第2回で説明したように、MBD手法による組織的な量産開発では、モデル図の可読性を向上させ、設計、照査、モデル図のレビュー検証や保守などを担当する関係者が、モデル図から仕様を正しく読み取れるように、モデル図の記述方法を統一するルールを作成することが必要でした。
当時は、まだ参考となる先例がなく、なにが最善なのか分かりませんでしたが、まず決めて運用しなければ、よりよいルールに改善してゆくことも出来ないので、可能なかぎりチェックツールで機械的にモデル図とルールの整合性をチェックできることを年頭に、C言語プログラムのコーディングルールなどを参考にしながら最善と思えるルールを決めました。
そして、運用するなかで発生した問題点をリストアップし、定期的に、改定すべき項目やその表現を協議してルールやチェックツールを改善する活動を続けています。