製品に内蔵したマイコンに組み込むソフトウェアでは、制御仕様の数学的な論理演算処理だけではなく、手続き的な処理をおこなう必要があります。
第2回で説明したように、組み込みソフトウェアについてなるべく広い範囲を同じ言語で開発するほうが、開発効率、品質上のリスクや人材の面で優れているので、どこまで可能か検討しました。
しかし、MATLAB Simulink(MathWorks社)は、数学的な論理演算処理を構築するのに適したツール(言語)であるものの、手続き的な処理、実行時間の管理が必要な処理について、当時(1999年頃)のSimulinkモデル図(以下モデル図と略します)では適切な記述方法を見つけることができず、このような処理はC言語で記述することにしました。
MBD手法導入前から、手続き的な処理、たとえばデバイスドライバや通信プロトコルのような処理をおこなう層と、論理演算処理をおこなうアプリケーションの層を分けたプログラム構造を採用していましたので、MBD手法を導入するにあたり、まずこのアプリケーションの中で実行時間の時間的制約が厳しくない新規開発部分の一部から、MBD手法を適応することにしました。